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ダメージとは?

ダメージ(だめーじ、英語: Damage、仏語: Dommage)は、額装において作品やフレーム、保護カバーなどが物理的または環境的な要因によって受ける損傷を指します。額装におけるダメージは、光、湿気、温度変化、衝撃、酸性物質などが原因となり、作品やフレームの劣化、変色、破損を引き起こすことがあります。これにより、美術品や写真などの長期保存に深刻な影響を与える可能性があります。

ダメージとは?その定義と影響

額装におけるダメージとは、主に作品やその周囲の構造が外部の影響によって損なわれることを指します。額装の目的は作品を保護し、美しく見せることですが、不適切な額装や環境の変化により、ダメージが発生することがあります。このダメージには、物理的な破損や傷、時間とともに進行する劣化、さらには目に見えない化学的な変質などが含まれます。

ダメージが作品に与える影響は多岐にわたります。例えば、湿度が高い環境では、紙が波打ったりカビが発生する可能性があります。また、強い光や紫外線に長時間さらされると、色あせや変色が起こり、特に絵画や写真などの色彩が重要な作品では致命的な影響を与えることがあります。さらに、酸性物質に触れることで、紙や布の作品は劣化が早まることがあります。

額装におけるダメージの歴史と言葉の由来

額装におけるダメージの防止は、古くから重要視されてきました。中世ヨーロッパにおいて、宗教画や貴族の肖像画を保護するための額縁は、主に木製で、当時の技術では十分に作品を守りきれないことも多く、湿気や虫害によるダメージが頻発していました。作品が時間とともに変色したり、絵の表面にひび割れが生じるなどの問題があり、これがダメージの起源とされています。

その後、額装技術の発展とともに、作品を保護するための方法も進化しました。特に19世紀以降、博物館やギャラリーでは、額縁内の環境管理や保護素材の使用が進みました。これにより、作品が外部の影響からより効果的に保護されるようになりました。「ダメージ」という言葉は英語の「damage」に由来し、日本語では広く損傷や破損を指す言葉として使用されるようになりました。

額装におけるダメージの主な原因と対策

光によるダメージ

光、特に紫外線は、額装における最も一般的なダメージの原因です。長時間光にさらされることで、紙やインク、絵の具が変色し、作品の色が薄くなったり黄変することがあります。これを防ぐためには、UVカットガラスやアクリルを使用することが効果的です。また、直射日光を避け、適切な照明環境で作品を展示することも重要です。

湿気と温度変化によるダメージ

湿気や温度の変化は、額装作品に深刻なダメージを引き起こします。湿度が高いと、紙や布の作品が波打つことがあり、また、カビの発生もリスクとなります。逆に、乾燥しすぎる環境では、作品がひび割れることがあります。温度と湿度を一定に保つため、額装された作品は湿度管理が行われた場所で保管されるべきです。特に美術館やギャラリーでは、温湿度を管理するシステムが重要です。

酸性物質によるダメージ

紙や布に含まれる酸性物質や、額縁自体が酸を含む素材で作られている場合、作品が劣化しやすくなります。このため、額装に使用されるマットや背板は、酸を含まないアシッドフリー素材を選ぶことが推奨されています。酸性による劣化は、時間が経つにつれて作品が脆くなり、色が変化する原因となります。

ダメージの修復と防止策

額装によるダメージを防ぐためには、適切な素材と環境の選択が重要です。紫外線カットのガラスやアクリルを使用することで光によるダメージを減らし、アシッドフリーの素材を使用することで酸による劣化を防ぎます。また、作品が湿気にさらされないよう、湿度管理を徹底することも重要です。

一度ダメージを受けた作品は、専門家による修復が必要です。修復作業は高度な技術を要し、元の状態に戻すことが難しい場合も多いため、ダメージを未然に防ぐことが最善の対策です。特に高価な美術品や歴史的な価値のある作品は、ダメージ防止のための額装が非常に重要です。

まとめ

額装におけるダメージは、作品を保護するために注意が必要な要素です。光、湿気、温度変化、酸性物質など、さまざまな外部要因が作品に影響を与え、劣化や破損を引き起こす可能性があります。適切な額装を行い、紫外線カットや湿度管理を徹底することで、作品を長期にわたって美しい状態で保存することが可能です。ダメージを防ぐための措置を講じることが、作品の価値を守る上で非常に重要です。



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