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フィッティングとは?

フィッティング(ふぃってぃんぐ、Fitting、Ajustement)」とは、額装において、アート作品や写真をフレームに正確に収める作業を指します。フィッティングは、作品を保護しつつ美しく展示するための重要な工程です。フレーム内に作品をぴったりと合わせ、マットボードやガラスを使って固定することで、長期間にわたって安定した状態で展示・保存できるようにします。

フィッティングの歴史と由来

「フィッティング」という言葉自体は、もともと物を正確に配置したり、取り付けたりする際に使われる技術的な用語です。この概念が額装に応用されたのは、フレームを使ってアート作品を安全に保護し、適切に展示する文化が発展したときからです。額装の技術は、15世紀のルネサンス期のヨーロッパで絵画をより高く評価し、展示するために発展しました。フィッティングは、その中で作品を適切に収めるための作業として重要な役割を果たすようになりました。

当初、フィッティングは手作業で行われ、木製フレームや金箔装飾が施されたフレームに合わせて作品を収めていました。作品を保護しつつ、アートとしての美しさを引き立てる技術としてフィッティングは次第に洗練され、現代に至るまで、額装において欠かせないプロセスとなっています。

フィッティングの工程と役割

フィッティングは、額装における最終的な組み立て作業として、作品をフレーム内に正確に配置し、固定する工程です。この作業は、作品を美しく展示するだけでなく、作品が長期にわたって保護されるためにも重要です。フィッティングには、以下の主要なステップが含まれます。

1. マットボードの配置
作品とフレームの間にマットボードを使用する場合、フィッティングの際にこのボードを作品に正確に合わせます。マットボードは、作品を引き立てるために使われるだけでなく、作品とガラスが直接接触するのを防ぐ保護の役割も果たします。

2. 作品の固定
作品をフレーム内にぴったりと固定するためには、裏側でしっかりと留め具を使って作品を固定します。これにより、作品がフレーム内で動かないようにし、見栄えを損なうことなく安全に展示することができます。

3. ガラスの配置と密閉
フィッティングの最終段階では、ガラスやアクリル板をフレームに収め、作品を外部環境から保護します。特にUVカットガラスを使用することで、作品を日光による退色や劣化から守ることができます。フィッティングでは、ガラスがしっかりと密閉されているか確認し、湿気や汚れが入り込まないように注意します。

フィッティングの技術的な要素

フィッティングは単なる作業ではなく、技術的な要素が多く含まれています。正確で美しいフィッティングを行うためには、以下の点に注意が必要です。

1. サイズ調整と精度
作品をフレームに収める際、フレームやマットボードのサイズが作品に正確に合うように調整する必要があります。これには、高度な精度が求められ、わずかなズレが作品の見栄えや保存状態に悪影響を及ぼすことがあります。プロの額装業者は、これを慎重に計測し、適切に調整する技術を持っています。

2. 材料の選定
フィッティングには、アシッドフリーのマットボードやUVカットガラスなど、作品の保存を考慮した高品質な材料を選ぶことが重要です。これにより、作品の劣化を防ぎ、長期間にわたって美しい状態を保つことができます。特に貴重なアート作品や写真の場合、使用する材料の質が作品の保存に大きな影響を与えます。

3. 組み立ての技術
フィッティングには、正確な組み立て技術が求められます。フレーム、ガラス、マットボード、そして作品を正確に組み合わせることで、全体として安定し、美しい額装が完成します。この作業では、作品が傷つかないように細心の注意を払い、均等な力で固定することが必要です。

フィッティングの実際の使用例と効果

フィッティングは、アート作品や写真の額装で広く使用されています。その目的は、美しい展示と長期的な保存の両方を実現することです。以下に、フィッティングが実際に活用される場面をいくつか紹介します。

1. 美術館やギャラリーでの展示
美術館やギャラリーでは、展示する作品を最適な状態で鑑賞者に見せるために、フィッティングが非常に重要です。フィッティングによって作品がしっかりと固定され、展示中に動いたり損傷したりすることが防止されます。また、作品の保存状態も維持され、長期間展示する際にも劣化しにくくなります。

2. 個人宅でのアート展示
個人のコレクションを額装して家庭に飾る際にも、フィッティングが活用されます。家族写真やお気に入りのアート作品を、プロのフィッティング技術によって正確に額装することで、より美しく、安全に展示することができます。

フィッティングを行う際の注意点

フィッティングを行う際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。これらを守ることで、作品の保存状態を最適に保つことができます。

1. 温度・湿度の管理
フィッティング後の作品は、適切な温度と湿度の環境で保管することが必要です。高温多湿の環境では、作品が変形したり、カビが発生するリスクがあります。定期的に環境を確認し、作品が劣化しないように管理することが大切です。

2. 定期的な点検
フィッティングされた作品は、時間が経つとガラスやフレームの固定が緩んだり、素材が劣化することがあります。そのため、定期的にフレームの状態を点検し、必要に応じて修理や再フィッティングを行うことが推奨されます。

まとめ

額装における「フィッティング」は、アート作品や写真をフレームに正確に収め、長期間にわたって美しく保存するための重要な工程です。歴史的には、ルネサンス期から発展してきた技術であり、現代でも美術館や家庭で幅広く活用されています。フィッティングを正確に行うことで、作品が安定して展示されると同時に、保存状態も最適に保たれます。プロのフィッティング技術は、作品の価値を引き出し、長く楽しむために不可欠です。



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